アシュレイ・マディソンって何?

「人生一度。不倫をしましょう。」
こんなスローガンを聞いたことはありませんか? 今では結構、ネット上では有名なので、ネットで出会いを探している人であれば、一度くらいは目にしたことがあるのではないかと思います。

これは、カナダに本社を置く会員制ウェブサイト「アシュレイ・マディソン」のスローガンであり、同ウェブサイトは、いわば出会い系サイトの一種です。それも、既婚者向けのものであるということで、不倫をしたい人の集まるサイトであるといえます。なんともいかがわしいサイトでありますが、しかし確かに、人生一度きりなのに関わらず、死ぬまで同じ人としかセックスできないというのは、既婚者にとって最大の悩みといえるのかもしれません。

独身だった頃のように、恋愛もできない、ノリでセックスもできない、風俗にすら行けない。そんな日々に不満を抱いている人にとっては、とても便利なサイトなのです。2001年に開設されてからというもの、多くの人々に利用されており、今やその会員数は世界各国で累計2200万人以上といわれています。これだけ、不倫を求める男女は多いということですね。

2200万人というのはあくまでも、アシュレイ・マディソンの会員の数でありますから、そういったサイトを利用せずに、不倫をしている人を含めれば、その数はさらに膨れ上がると思います。つまり、今や不倫をするのは自然なことであり、その相手を探すひとつの手段として、アシュレイ・マディソンがあるわけですね。日本にもたくさんの会員がいると思います。

最近だと、矢口真理さんの不倫騒動が話題になりましたが、そのときに確か、このサイトの代表が「私を使えと言え」などといったメッセージを出していたと思います。要するに、イメージキャラクターとして起用してやると言いたかったわけですね。結局、そんなことにはなりませんでしたが、そのとき矢口さんが誘いに応じていれば、たぶんまたテレビに出られることはなかったでしょう。

さて、それは置いといて、このアシュレイ・マディソンはとにかく色々なところで話題になるサイトであります。不倫を勧めているという特色があるだけに、色々なところでトラブルが起きているのです。

アシュレイ・マディソン関連のトラブル

このアシュレイ・マディソンはやることが派手というか、破天荒なんですよね。テレビや看板、ラジオに広告を打ち出すことはもちろん、たとえば、トロント交通局に20万カナダドルで市街電車への広告掲載を申し入れたり、財政危機に陥っているフェニックス・スカイハーバー国際空港の名称を1000万ドルで5年間アシュレイ・マディソン国際空港にするという旨の提案をしたり。とにかく金を持っているのでしょう、とんでもないところに、とんでもないやり方で、不倫の広告を打ち出そうとするわけです。

それだけ、不倫は一般化しており、なんら悪徳性のないものだというのを訴えかけたいのでしょうね。ただし、私は不倫というものを否定するわけではないですが、公共の場に不倫の広告を打ち出し、それが当たり前のことだと訴え、それが広く一般に浸透するというのは、さすがにありえないですし、ムダなあがきだと思いますね。

結婚は法律上では契約に当たりますから、不倫はその契約不履行や破棄に該当するわけで、普通の家庭で普通の教育を受けてきた人にとっては、印象の悪いものであることは間違いありませんし、それは変えようのないことです。

むしろ不倫をする人はそれをわかったうえで、罪悪感をどこかに抱えながらするのであって、それがあるからこそ燃えるという面もあるのであって、何もわざわざ不倫を求めない人もたくさんいるところへ「不倫を堂々と訴えてお前らの常識変えてやるゼ」「お前らが間違ってんだぜ」みたいな威張りくさったやり方をする必要はないですよね。不倫をする人にもこの点には賛同していただけると思います。

ただ、そのような批判を受けるというのが、そもそも彼らの戦略であるとも考えられます。要するに「炎上商法」というわけですね。正攻法でやっても、不倫のための出会い系サイトなんて、そうそう宣伝できるものではありません。何か話題になることをやって、批判を集めることで認知度を高めていく。だとすると、何もかも計算ずくか、と感心するとともに恐ろしくも思えてきます。

ちなみに、アシュレイ・マディソンは現在、30カ国で広く利用されていますけれども、2014年、シンガポールへ進出しようとした際、性的要素が強く家族関係を破壊することになるという理由から、現地のメディア開発庁により、進出を許可しないという決定が下されました。また、お隣韓国では「姦通罪」というのが法に定められており、不倫は違法とされているので、2014年4月、政府機関によりアシュレイ・マディソンへのアクセスが遮断されたとのことです。

今後はフィリピンやタイへの進出を狙っているとのことで、またひと悶着あるかもしれませんね。

ハッカー事件

これはごく最近のことです。アシュレイ・マディソンはなんと、ハッカー集団にサイバー攻撃を受けてしまったんですね。それがつい先々月、2015年7月のこと。ハッカー集団の目的は、サイトを閉鎖させることであったようです。つまり、不倫をよしとするアシュレイ・マディソンを快く思わないハッカーたちが協力して、サイバー攻撃を仕掛けたということです。

その集団の名前は、「インパクトチーム(Impact Team)」。同集団はアシュレイ・マディソンから個人情報を盗み、8月18日にユーザー約3200万人の個人情報を「ダークウェブ(Dark Web)」と呼ばれる匿名化技術を利用したウェブサイトに公開しました。不倫をしている人間の名前、その他個人情報を晒しあげにしてしまったのです。

この事件によって、2件の自殺が起こった可能性がある、とカナダ警察は発表しました。そしてまた、8月23日に5億7800万ドルの損害賠償を求める集団訴訟がカナダで起こされたのです。

不倫しているのがバレてサイトにキレるというのは、なんとも、覚悟の足らない人たちですね。不倫をしている人の中には、やはり、責任を誰かに押しつける、なすりつけるといった性質の人も少なくないのかもしれません。私が不倫をしたのはあなたが悪いからだと開き直った、などという不倫にまつわる話はたくさんありますから。バレて困るならするなよ、と私は思ってしまいますけれどね。しかもアシュレイ・マディソンなんて超有名サイトを使って。

奥さんなり、旦那さんなりが浮気調査に、と、登録したらどうするつもりだったのでしょう。もしくは、個人情報が流出したことそれ自体に対する怒りをぶつけているのでしょうか。公開プロフィールに散々自分のことを書いておいて? それはさすがに通用しないと思いますね。

さて、ここまで話してきましたが、勘のよい人はひとつ疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。そうです、アシュレイ・マディソンを利用しているユーザーは2200万人、漏洩した個人情報は3200万人分。これはどういうことか。実に簡単です。アシュレイ・マディソンがいわゆる「ダミーアカウント」を作っていたからです。

実際には存在しない女性、あるいは男性のアカウント。それらのプロフィールも一緒に漏れたため、実際の登録者数よりも数字が大きくなっているのです。最低でも1000万人分のダミーアカウントがあるということですね。しかも、その登録者2200万人のすべての情報が、ひとりの例外もなく漏洩したというわけではありませんから、ダミーアカウントの数は1000万人を遥かに超えると思われます。

出会い系サイトではこれが普通であるわけです。アシュレイ・マディソンのような有名サイトでもそうである、というのは、興味深いデータといえるのではないでしょうか。

アシュレイ・マディソンで不倫相手を探すべき?

さて、そんなアシュレイ・マディソンですが、不倫相手を探すのに向いているのでしょうか。たしかに、不倫を専門とする出会い系サイトとしては、世界最大級で、人気も実績も申し分ありません。相手を探すことは普通にできると思います。

ただひとつ知っておいてほしいのは、すでに辞任しましたが、元CEOのビダーマンさんは結婚しており、妻とは仲睦まじく、子供が二人おり、不倫とは無縁の生活を送っているということです。これは様々なメディアにビダーマンさん自身が語っていることで、アシュレイ・マディソンは単なるビジネスに過ぎないと言っています。それを知ったうえでどうか、ですよね。

こう言ってはなんですが、アシュレイ・マディソンは、不倫を勧めすぎるところがあります。そのリスクについては一切説明をしていませんし、良い面ばかりを語り、家庭に不満を持っている人々を煽り立てているかのようなきらいがあります。それを知ったから、じゃあアシュレイ・マディソンを実際に利用したときに何かが変わるのかというと、そういうわけではありません。ただ、私のような普通の人間はやはり、ちょっと怪しいサイトだなと思ってしまいます。

いずれにせよ、物を利用するときには、その良い面だけでなく、悪い面を知っておくことが重要です。ダミーアカウントの件もありますし、ここでは詳しく触れませんが、アシュレイ・マディソンの「全額返金保証」についてなど、問題点はいくつもあります。手放しに「これは優良サイトだ!」とは言えないのが現状です。

結局のところ、アシュレイ・マディソンを利用するかどうかは、あなた次第ですね。

もちろん、不倫専門の出会い系サイトとしては、他に類を見ないほどの規模でありますから、不倫相手を探すことは間違いなくできるでしょう。ただしこれだけ知名度が高いと、先述したように、パートナーにばれてしまう、なんとなしに浮気調査として登録してあなたの名前を見つけてしまう、といったことが起こりえます。また、再びハッカーの攻撃を受けないとも限りません。

アシュレイ・マディソンを利用するか否かだけではなく、そして不倫というものを正当化してそれに突っ走るのではなく、まず不倫はいけないことだという自覚を持つことが大切です。そのうえでどうするか。不倫に手を染めることそれ自体が、自分にとっていいことなのかどうかも含めて、熟慮すべきだと思います。

もしバレてしまったときに、数百万の慰謝料を払えるか、親や会社の人間の信用を失い、ほぼ確実に職さえも失うことを考えてどうか。アシュレイ・マディソンの言うように、確かに、人生は一度きりですから、不倫を楽しむのもいいと思います。ただ、社会通念上、悪とされていることに手を出したものは、それが露見すれば、当然制裁を受けることになります。

何度も言うようですが、良い面だけを見るのではなく、悪い面、リスクも考慮することです。浮気ならまだしも、不倫をした妻や夫を許す人というのは、たぶん数パーセントにも満たないので、パートナーと今ラブラブだからといって、不倫がバレてもそれが続くとか、許してもらえるだろうとか、そういうことは考えないほうがいいですよ。そのうえで、不倫専門の出会い系サイトであるところの、アシュレイ・マディソンを利用すべきかどうか、判断してくださいね。